October 03, 2011

女という生きものは、

女という生きものは、
悲しくなくとも
泣きゃあがる

10月1日(土)の日経夕刊文化面の見出し。気になって記事を読みました。
これ、池波正太郎「仕掛人・藤枝梅安」(講談社文庫)より抜粋したものだそうです。

記事曰く・・・
第1話「おんなごろし」。(梅安の)父が死んだとき、遺体にすがって号泣した母は翌朝、妹の手を引いて男と出奔、少年の梅安は独り取り残される。


私、梅安のお母さんは本気で悲しくて泣いたんだろうと思った。
わからないけど、私はそう思った。
それでも次の日、息子を捨てて、違う男といなくなってしまった。
そういうこと、あるかもしれないと思う。
愛情って、別に、ひとりの人だけに向かうものではないし。
息子は一人でも生きていける強さがある、と、本能的に見抜いていたのかもしれないし。

なーんてことを思って、ちょっと記録。

ちなみに私はすぐに悲しくなってすぐに泣きます。ドラマとか映画とかすぐ泣きます。
うれしくて泣くことも、ごく稀にあります。
悔しくても泣きます。日常の中では、実はこれが一番多いかも・・・?

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February 21, 2011

アンドラージュ・シフ Andras Schiff @紀尾井ホール

Schiff_320日夜、紀尾井ホールに母と一緒にハンガリー人の巨匠ピアニスト、アンドラージュ・シフのリサイタルに行って来ました。
母がとても楽しみにしていたベートーベンの後期ソナタ3作。

本当に圧巻でした。
30番、31番、32番の3つのソナタを、休憩なし、観客に拍手もさせずに、弾き切った。
シフの静かな迫力に圧倒され、観客も1時間半近く、咳1つせずに聴き入りました。

ときに即興かと思わせるような、自由自在な曲運び。
この世のものではないような、美しく静かなパッセージ。
フォルテ、ピアニッシモ、ペダルの使い方から和音のわずかなズレまで、おそらくシフによって計算し尽くされた音色。
しかしそれは人の知恵による計算を超越した、深く精神に響く、ソナタでした。
聴き終わったとき、言葉に尽くしがたい、充実した感動で満たされました。

ベートーベンの偉大さを改めて思い知りました。
そして、シフがこんなにすごいピアニストだとは知りませんでした。
地味な濃いグレーの、まるで作務衣のような服を着てあらわれて、ゆったりした服なのに大きなお腹がぽっこり出ていて、額は後退し、もそもそした巻き毛が伸びていて、とんがった鼻とつぶらな瞳で、穏やかな表情をしている、なんともいえない独特の風貌のシフ。
演奏が終わると何度も何度も律儀にお辞儀をしていました。

L1000706これほどの大曲を弾き切った後なのだからアンコールは無しかと思ったら、なんと嬉しい、バッハの平均律!
もともとシフはバッハ弾きとして世にあらわれたピアニスト。私が初めてシフを知ったのも、平均律のレコードでした。
(はい、レコードです)
結局アンコールをバッハばかり3曲も弾いてくれました。もう、大感激。

この演奏会の模様は3月4日(金)23時から、NHK教育「芸術劇場」で放送されるそうです。
かなり前の方にいたから映っているかもw

さっそくコンサート会場でこのCD買いました。
こちら、30番、31番、32番が入っているCDです。
このブログもこれ↓を聴きながら書きました!

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April 20, 2009

キーシン@サントリーホール

母の誕生日祝いを兼ねて、母と二人でエフゲニー・キーシンのピアノリサイタルに行った。日曜の夜だったからか、子ども連れが目立った。きっととてもまじめにピアノの練習をしている子たちに違いない、と、微笑ましい気持ちになる。

曲目はプロコフィエフのバレー「ロミオとジュリエット」から10の小品、戦争ソナタ、そしてショパンの幻想ポロネーズとマズルカとエチュード。
「ロメオとジュリエット」はソフトバンクのCMで有名になった「モンタギュー家とキャピュレット家」も演奏。分かりやすく美しい旋律と迫力ある和音とで素直に楽しめた。
戦争ソナタは、とんでもない大曲。途中で意識を失ってしまった…が、なんだかよく分からないけど凄かった。キーシンがむちゃくちゃ凄いピアニストだっちゅうことだけは分かった。
休憩をはさんで、後半のショパンは知った曲ばかり。特にエチュードは、ポリーニのCDをそれこそすりきれるほど聴いていたので、比較しながら聴く。ポリーニのクールで超絶技巧のエチュードは大好きだけど、キーシンははるかに情緒的で、美しかった。ライブで聴くのなら、これくらいしっとりしているのも素敵だと思う。

しかしもっとも印象に残ったのはアンコール。
なーんと曲目は…
1.ショパン ノクターン8番  ああきれい。
2.プロコフィエフ「4つの小品」op4より悪魔的暗示  うわおぅ
3.プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」より行進曲  おういぇい
4.ショパン マズルカ47番   おおお、まだこんなにたくさん弾いてくれるなんて!
5.ショパン 子犬のワルツ   きゃああああ、こんなに誰もが知っている名曲を!なんてきれいに弾くんだっ音がコロコロコロコロきれい♡ ピアノを習っている姪っ子に聴かせたかったぁ
6.モーツァルト トルコ行進曲   !!!!!ままままさかのトルコ行進曲、まさかのモーツァルト…ペダルはほとんど使わずに、シンプルに、しかしこんなすばらしいピアニストのトルコ行進曲を生で聴けるなんて感動っっ 子供の観客にサービスしたのかなぁ ああしかし、この人のモーツァルト、もっと聴いてみたいなぁ。
7.ショパン ワルツ7番   これも、昔、弾きました、私も。ピアノをある程度の期間習い続ける人なら、誰もが一度は必ず弾く哀しく美しいワルツ。きれいだったよーん。ああなんて貧弱な私の文章力。とっても繊細に細かく細かくペダルを踏んでいた。勉強になるなぁ。ああ、天才ショパンの曲は凡才が弾いてもけっこうきれいなんだけれども、天才が弾くと、本当にため息が出る。

最後の3曲あたりは、弾き終わったら観客ほとんど総立ち。
まだまだ弾いてくれそうでしたが、10時を回って、ついにホールの明るい照明がついてしまいました。
大拍手、大拍手にはにかんだような笑顔で応えたキーシン。とても40歳近いとは思えぬ少年のような風貌。天才少年がそのまま大人になったみたい。女性ファンが次々に差し出す花束やプレゼントをイヤな顔一つせずに受け取るキーシン。

あぁ、いいコンサートだった。母ももちろん大満足。いいバースデープレゼントになりました。よかったよかった♡

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November 18, 2008

魂を揺さぶられた・・・/「虐待」は「狂気」か?

魂を揺さぶられた。
NHKのドキュメンタリー「微笑と虐待~証言 アブグレイブ刑務所事件~」
17日(月)午後10時から放送。会社でテレビに釘付けになった。
(再放送もあるだろうから、見逃した方は是非。以下ネタバレです)

リンディ・イングランド。裸の捕虜を前に笑っていた彼女は、禁固3年の刑に服している。仮釈放の身で、事件から5年、初めてテレビカメラの前で、なぜあんなことをしたかを、自分の思いを、とつとつと、言葉を選びながら、語る。生まれてこのかたトレーラー住まい、つまりは貧困層。そこから抜け出したくて、予備役に志願したという。

あれは日常的なことだった(「虐待」を彼女は自分の言葉として使おうとはしなかった)。上から命令されたと周りのみんなが言っていた。おかしいとは思った、しかし戦時中は誰もみな不安定になるものだ。私はたまたまそこにいただけ。たまたま写真に写っただけ。有罪の理由は、そこにいたから。写真に写ったから。

そして、彼女も軍の方針の犠牲者にすぎなかったことが、丹念に明らかにされていく。

アブグレイブ収容所の所長だったジャニス・カーピンスキー大佐は、頭脳明晰な女性らしく、理詰めで、しかし沸き上がる怒りに少しずつ興奮した語り口になっていく。最後には、捕虜虐待で有罪になった7人は「写真を撮ったから軍そして政府上層部の怒りに触れたのだ、写真を撮ったことで有罪になったのだ」と身を乗り出して大きな声で言い放つ。

私にとってのクライマックスは、偶然に虐待写真を入手し、悩んだ末に匿名で告発した兵士が、ラムズフェルド国防大臣その人に恐ろしい目にあわされる場面。あのラムズフェルドは、告発を「英雄的行為」とたたえながら、本人に何の断りも無しに、実名を議会証言でいきなり公表したのだ。なんという報復。兵士は間もなく裏切り者として軍を去らざるを得なくなった。保守的な土地柄の故郷にも帰れなくなってしまった。「同胞を裏切った者」として恨みを買った結果、地元の住民から危害を加えられる恐れがあるからだという。なんという。非道い。非道すぎる。そして、今後、米軍兵士は誰一人、告発などという割に合わない馬鹿げたことを二度としないだろう。

アブグレイブの虐待が明るみに出て5年。このテーマをここまで追いかけ続けたテレビマンの魂に震えた。エンドロールの最後に、NHKと並んで、制作オルタスジャパンとあった。オルタスジャパンは優秀なディレクターを抱える制作プロダクションだ。あのエンドロールの位置からすると、おそらく、このネタを追いかけ続けたのはNHKプロパーではなく、オルタスジャパンのディレクターではないだろうか。誰であれ、その粘り強さとあきらめの悪さに、心から、拍手。

番組HP
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081117.html
「彼らの証言から浮かび上がってきたのは、アメリカがイラクの民主化という「善意」とテロとの戦いという「理想」を掲げる一方で、密かに進行していたアメリカ軍の狂気そのものだった。」

「狂気」。なんとまあ陳腐な言葉だと思う。番組を通じて要所要所に妙におどろおどろしい音楽が演出的にかかっていたのが気に入らなかったが、番組の制作責任者が、あのすべての騒動を「狂気」と理解しているからかと思うと、妙に納得がいった。

あれは狂気などではない。狂気ならば救いがある。狂気は、一時的な、情に突き動かされた、衝動的なものだ。

実に冷静に計算された拷問方法と、告発者への報復と、あまりに分かりやすいトカゲのしっぽ切り、責任逃れ。人間とは冷徹にそういう計算ができる生き物だ。だからこそ恐ろしい。その性質と、闘わなければ。どう闘う?分からないけれど。その性質と、闘いたい、と思った、学生の頃の情熱を思い出した。

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September 18, 2007

Margarita passed away

海外赴任時代に私の親友だった人の母が昨日、亡くなりました。
88歳。
プレゼントをくれたり、やさしく話しかけてしてくれたり、踊ったり笑ったり、とてもかわいいおばあちゃんでした。敬虔なカソリックの信者で、日曜日は欠かさずミサに行っていた。
50年ほど前に、銀行家だったご主人と共にキューバからマイアミに亡命。ほとんど無一文の状態から、三人の息子を大学まで行かせた。言い知れぬ苦労をしたはずです。
ご主人は15年ほど前に亡くなりました。彼女は、ご主人が集めた世界中のお酒を居間に飾っていた。その中に、甕に入った日本酒があったのですが、初めて会った日本人の私がよほど珍しかったのか気に入ってくれたのか、その甕を私にくれました。大切な形見を呑んでしまうのも申し訳なくて、甕はいまだに実家に置いています。

彼女は故郷キューバを懐かしがりながら、ついぞ帰ることはできなかった。

ヒスパニック系の人たちはことのほか家族を大切にします。
親友からも、お母さんのMargaritaさんからも、家族を大切にすべきだということを何度も教わりました。
親友は、あまりに忙しく仕事ばかりしている私に、「まず何よりも健康が第一。健康でなければ何もできない。次に家族。仕事も会社も君を守ってはくれないよ」と、よく説教してくれたものです。
私はMargaritaのお気に入りの一人だったので、友人は、さっき、わざわざ国際電話で教えてくれました。
本当に久々に声を聞いた彼は泣いていた。

私自身、思いのほか強い喪失感を味わっています。涙がぽろぽろ。

大切にしてくれた人は、大切にしなければならない。

そんな当たり前のことを忘れるほど忙しく仕事をしていて、何の意味があるんだろう?

せめて自分の両親はもう少し大切にしよう。。。あまりひどく後悔しないように。

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February 25, 2007

重みと深み

きょう、いい言葉を聞いたので、メモ代わりに。

(見たくない真実・本質に)フタをしたまま続ける人生なんて、重みも深みもないよ。

人生経験豊かな女性の言葉の伝聞。

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February 12, 2007

「報道に対する脅威」

「報道に対する脅威」
http://www.diplo.jp/articles07/0701.html

私が漠然と感じていた問題を、マジメに捉えて真正面から論じている記事をたまたま見つけました。

いや、「たまたま」というのはウソで、今日ひっさびさにプログ管理画面にログインしたもんだから、何となくアクセス解析を見に行って、生ログなんてものがあることに感心して、ぼーっと眺めて意味が分からなくて、ふとクリックしてみたリンクがこちら。
http://a.hatena.ne.jp/gedoearthsea/simple
そこで、
『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版
が目に入った。
むかーしむかし、小学生の頃にフランスにいたことがあります。父親が毎日読んでいたル・モンド。それで何となくクリックしてみたら、表題の記事に行き当たったというワケです。
gedoearthseaさん、ありがとう。

私、もうすぐ、テレビ屋じゃなくなりそうなんです。だから余計に気になった。


フランスついでに。昨日、シャルル・アズナブール Charles Aznavourという超大御所シャンソン歌手のコンサートに行きました。
これまた偶然の産物で、金曜夜にタクシーに乗って帰宅途中、タクシージーコムに「ありがとうさよなら日本公演」という情報が流れたのを見てびっくりして、これも親孝行だと思って2万円もするチケットを買って、親と一緒に東京国際フォーラムに行きました。
アズナブールって私の父よりずっと年いってるはずで、まさかまだ現役で歌っていたなんて夢にも思わなくて、きっとよぼよぼのお年寄りがナツメロを適当に歌ってお茶を濁すのかと思っていたら、まあ。

C_aznavour_060814声のハリ、ツヤ。マイクを通してもハッキリ分かる。この人の歌は、この人は、本物だ。
足取りも軽やかに、失われた青春を嘆く歌から失恋の歌失恋の歌失恋の歌、滑稽な売れない歌手の歌や少し宗教がかった歌、次々に休み無く歌い続ける。
知っている歌はほとんど無いのだけれども、それでも感動した。
いったいこの人は何歳なのか、終了後、3000円もするプログラムを購入して、経歴をよくよく見ると・・・
1924年生まれ。

え。

ことし83歳ってことじゃん。

ありえなーい

誕生日を迎えたばかりの父が、真剣に、「自分ももっとがんばらなければ」という気持ちになっていたのが、予期せぬ収穫だった。
なかなか良い日曜日でした。

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September 27, 2006

給料3割カット

安倍さんが、給料3割自主返納という記事をヤフーで見て。

へええええ。
なんか、やっぱり、若い人だなぁ。

と、すごく年寄りくさい感想を持ちました。
総理大臣就任後、初めての記者会見で、自分の給与の30%カットを発表したという。

きょうは私は午後はまさにその新総理の組閣情報のスーパー速報打ちまくり担当で、マジ疲れましたが・・・
夜はファイナンスの勉強するためサッサと会社を出てしまったので、会見はまったく見なかった。
夜ニュースも見られる時間に帰って来なかったので、なんも知らずに夜中にネット見てたらビックリ。

歳出削減のために、まずは自分の給料から削減する。
もちろんカネに困っていない人だから出来ることなんだけど。
それを敏感に感じ取って反発する人もいるだろうけど。
私はなんだか好印象でした。
子供もいないし、年齢以上に気持ちも若いだろう安倍総理。めちゃめちゃやりがいのある仕事について、きっと本当に身命を賭してやる気になっていて、できることは何でもやろう、という気持ちになっているのかなぁ、なんて、つい好意的に解釈してしまいます。
うーむ。官邸の広報戦略にまんまとしてやられたか?わたし。

でもね、なんか、真剣にやりたい仕事に、真剣に取り組んでいる人に見えてね。
私も、そういう仕事を、また見つけなければ。

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September 12, 2006

9.11.2006

あの日から、5年がたちました。

一年前のへたれエントリはこちら。
9.11.2005
二年前のエントリ。
9.11 あの日感じた憤りと悲しさと悔しさと

5周年。ことしも、何も、しなかったなぁ。
各局の特番や特集を一生懸命見ました。
あの時、現場に居合わせた記者は、誰も出てこなかった。
オオモノキャスターが真剣な表情をした方が、視聴者にはリアリティがあるんだろうか。
サラリーマン記者って、そんなもんなんだろうか。
みんな私と同じように、組織の壁や、会社の中の立場や、日々やらなきゃならないことに流されて・・・。
何もできなくなっていったのかなぁ。


テロをどうして防げなかったかを詳細に検証した調査委員会の「9.11リポート」の漫画版が最近、出版されました。
ウェブサイトでも公開されています。
Slate.com, The 9/11 Report
タワーが燃えている絵をクリックすれば、漫画の画面が出てきます。
報告書から抜粋された英語の文章を読むのはそれなりに手間ですが、絵がでかいのでかなり分かりやすい。
9.11リポートが出版されたときは「読まなきゃなぁ」と思ったけど一行も読んでない。でも漫画だから、とりあえず二章目までは読んだ。今度こそは最後まで読んでみます。

安定したお給料をもらいながら、何かこだわりを持ち続けて仕事をするってのは、なかなか難しいものです。与えられた環境で、できることをやるしかない。

それでも、せめて・・・
与えられた環境の中で、せめて、「精一杯」はがんばろう、と、自分に喝を入れるため。
やっぱり、この日、エントリを立てることにしました。

というわけで、ゆびとまの超不定期ブログはまだ生きています。ではでは。

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July 31, 2006

フジロック初体験・・・いやとにかくすごかった。いろんな意味で。

3日間で13万人もが参加するというロックフェス、フジロック2006に行って参りました。
といっても土曜の一日だけ。
ことしで10年目なんだそうで、Red Hot Chili Peppersが目玉アーチスト。このレッチリ目当てに、バンド仲間総勢7人で。レンタカー借りて。麦わら帽子買って。ウェストポーチ買って。ビニールシートとか小さな折りたたみイスとか雨合羽とかランタンとかいろいろ詰め込んで。

まあとにかく仲間に誘われるままによく把握せずに行ったんですが・・・参った。
何に参ったって、まず人が多い。そして、ありえない広さ。
場所は苗場のスキー場。スキー場の、ある程度平らなところ6カ所にステージが点々と設営されて、駐車場からお目当てのステージにたどり着くまでにゆうに30分は歩いたでしょうか。その6つのステージで、いろんなバンドが、朝から晩まで、ライブやるんです。ステージからステージへの移動だって遠いのなんの。
おみやげのTシャツ屋もディズニーランドの人気アトラクション並みに人がならんでいるし、食事は大きめの露店があちこちにたくさん出ていたけどえらく混んでるし・・・
トイレだって20分くらい行列だ。
広い野外に、雑然とビニールシートを敷いてみんな思い思いにビール飲んだりライブ聴いたりしてるんですが、私らが到着した昼過ぎには、メインステージの観客エリアにはもうほとんどあいてるスペースなし。ううう。

次に参ったのは、雨。ひどい雨。雨、雨、雨。いやー、山をナメてはいけませんね。
あまりにずっと降り続いたので、耐えかねて、臨時のテント作成。ビニールシートを、ゴミ袋裂いて作ったヒモで、木の幹に結んで、仮の宿を作りました。これがなかなか快適。
雨に濡れないって、なんてありがたいことなんだ!!!
身にしみました。涙。

そんな状況なもんだから、あちこちステージ歩き回る気力も起きず、夜9時半から始まる予定のレッチリをひたすら耐えて待つだけ。

と思っていたら、けっこうね、いいバンドが出てきました。メインステージだからかもしれないけど。
一番よかったのは、The Hivesというバンド。初めて知った。ヨーロッパっぽかったけど、どこのバンドだろう。と思ったら、スウェーデンのバンドでした。CD買わなきゃ。
往時のThe Whoを思い起こさせるような超ゴキゲンなパンクロック。全員、黒のシャツに黒のパンツに白いズボンつりに白いスカーフよ。ボーカルが可愛かった〜。ベースの名前はDoctor Mass Destructionだそうで。絶対に覚えろ、と、ボーカルの子が言ってました。
不思議なもので、というか当たり前なんだけど、いい演奏は客をひきつけるんですよね。いつの間にかステージ近くの「立ち見スペース」は人だかり。私も飛んだり跳ねたりして、しばし雨を忘れた。

あと記憶に残っているのは電気グルーヴ。いっちゃん最初にN.O.とShangri-Laという最大のヒット曲を演奏、それでワラワラと客が集まってきて。Shangri-Laはちょっと想い出の曲なので(笑)、私もワラワラとステージ近くに集まっていきました。ロックフェスってことを考えると、なかなか戦略的な曲順だと感心。その後は電気グルーヴの世界にどっぷり。テクノはビジュアルのCGも楽しいね。

で、いよいよ、レッチリ。

こいつぁマジすごかった。写真とりましたので、後でアップします(多分)。
何がすごいって、いや、もちろんね、演奏はサイコーでしたよ。雨と寒さと空腹に耐えて待った甲斐があった。
40過ぎとは思えないハードな演奏とハードなステージ。ボーカルのアンソニー、最後は破けたTシャツ着て腹みせてましたが、脇腹は百科事典といっても過言ではない(腕や胸は筋肉隆々なんですけど)。そんな彼らの姿が、ハッキリと分かるくらい近くで見えましたよ。めちゃかっこよかった。

いや、それよりも、何がすごかったって・・・
年甲斐もなく、初めて、立ち見オンリーのめちゃ盛り上がるライブっていうものを経験したのですが。
マジ怖かった。
まず、満員電車なんです。
それが、バンドが出てきた瞬間、うねり始める。後ろから前から左から右からものすごい力でうねる。
そこで思ったのは、「なるほど、人気ロックバンドのコンサートで観客が将棋倒しになって死ぬっちゅうのはこういうことか」と。人生勉強その一。

とにかく最初の4曲くらいは、その満員電車をどう生き抜くかで必死で、演奏なんて楽しむ余裕ゼロ。満員電車でタバコに火をつけるバカがいると思ったらマリファナのにおいがしてくるし。一緒にその混乱に突入した友達とは引き離され、でも一生懸命探していたらまた見えて、うねりに乗っかりながらも少しずつ近づいてようやく再会できて。その後はとにかく意地でも離れぬよう必死。

で、少し慣れてくると、ルールが見えてきた。人生勉強その二。
まず、人のことを考えなくてもいい。見ず知らずの前の人の肩に手を当て背伸びしてステージの方を覗いてOKだし、どうも危ないと思ったら腕とひじを使って周りを押しのけなきゃいけない。
そして、皆と同じ動きを心がける。みんなが跳ぶときは、一緒に跳ぶ。じゃないと、前の人の肩がアゴに入ったりします。疲れていようが何だろうが、とにかく、一緒に跳んで頭を振り回していた方が安全なのであった。

そして、その満員電車のすき間のところどころに、屈強な係の人がいるのに感動しました。
やばい雰囲気になってくると、でかい兄ちゃんが、特に暴れてるヤツの顔に強力懐中電灯の明かりを当てる。周りがちょっと冷静になるんですね、そうすると。もっと前の方ではペットボトルの水が時々飛んでたけど、これも観客をクールダウンさせるためにワザとやってたんじゃないかと思う。

で、まあ、ルールが見えてきて、ようやく、ライブを楽しむ余裕が出てきました。やっぱすげー。感動。
がんばって、よかった。ほんとに。

ステージ終了は夜11時過ぎ。出るのが一苦労でしたが、1時半くらいに宿にたどりつき、ちょっとビール飲んで仮眠して・・・日曜仕事だった私は朝イチの新幹線で帰ってきました。明日もお仕事なので寝ます。とにかくこの感動を忘れないうちに書き留めておきたかったので、珍しくエントリでした。レッチリ満員電車の写真だけは近々アップしたいと思ってます。だらだら長くなっちゃってすみません。また来年も行きたい、と思わせる、お祭り騒ぎでしたとさ。

ではおやすみなさい。

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